COLUMN
会社の欠損金は現状10年繰り越して翌期以降の所得から控除することができますが、法人税と地方税(住民税や事業税)の欠損金の金額がズレることがあります。どのようなケースがあるでしょうか?
1.繰戻し還付を行った場合
中小法人については赤字になった場合、前期に支払った税額を限度として繰戻し還付が行えますが、同制度は法人税のみの制度で地方税は適用がありません。よって繰戻し還付を行った場合、法人税の欠損金が地方税の欠損金を下回るという事象が生じます。
2.事業税の非課税所得がある場合
事業税の計算上、社会保険等に係る医療所得等は非課税となるなど、法人税の課税所得と事業税の課税所得に差異が生じる場合があります。その場合は当然に法人税の欠損金と事業税の欠損金に差異が生じます。
3.グループ通算税制を適用している場合
グループ通算税制(旧連結納税制度)を採用している会社においても地方税は単体申告が継続となります。グループ通算制度では自社で生じた欠損金を他社で使わせることが可能なため、法人税の欠損金が地方税の欠損金を下回るという事象が生じ得ます。
以上、マニアックですが整理まで。M&Aを行う場合、税務上の欠損金に価値を見出して評価に反映させるケースがありますが、上記のようなケースでは税目別の欠損金額を把握した上で税務メリット(会計上の用語で言えば繰延税金資産)を定量化する必要があります。
宮口
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