宮口公認会計士・税理士事務所

代表コラム

COLUMN

法人課税におけるグループ概念の増加と税務リスク

税務
2024.3.1

2024年度税制改正で事業税外形標準課税の強化が行われることになり、過去に外形標準課税対象法人であった法人は、無償減資しても外形標準課税から逃れられないことなる点はご案内の方が多いと思いますが、合わせて一定の大規模法人の100%子会社については自社の資本金が1億円以下であっても外形標準課税が行われることになりました。

法人税においては2010年にいわゆるグループ法人税制が創設され、一定の大規模法人の100%子会社について中小法人特例が使えなくなっている他、消費税においても2014年に特定新規設立法人が導入され、一定の大規模法人の子会社について免税事業者になれなくなっていますが、今般の改正は、ついに地方税にもグループ概念が導入されることになった契機と位置づけることができます。

「自社の情報のみでは税務申告が行えない」

これは、税理士として法人の確定申告を行う場合、自社の情報のみならず、全ての資本上位会社の情報が必要となるということを意味しています。理屈はともかく、タイトな決算スケジュールの中、完全に情報を把握するのは難しいのと、各個別制度をかなり強く意識しないと申告ミスが生じる可能性が相当程度にあります。

「M&Aによる課税ステータスの変更に留意」

非上場企業のM&Aが活況を呈している昨今ですが、大企業や投資ファンドに株主が変わった場合に上記のグループ規定が適用され、課税ステータスが変更になる可能性があるのも留意すべき点です。法人税の中小特例だけでも以下のものがあり、②や③、業種によっては④などは多額の税務インパクトが生じかねないので実務家として非常に怖いです。

①軽減税率
②繰越欠損金の全額控除(大法人は所得の50%控除)
③留保金課税の非適用
④中小企業向け税額控除(試験研究費、賃上げ税制等)
➄交際費の損金不算入枠
⑥貸倒引当金の法定繰入率

投資ファンドが買収時に活用するSPCの資本金額などが対象会社の課税関係に大きく影響する点をご理解頂き、事前にこの分野に精通した税務専門家に相談頂くことが思わぬ追徴課税を避けることにつながると思っています。

宮口徹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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