COLUMN
近年、所得税の増税や社会保険料率の値上げが継続していますが、2018年時点の給与所得者の税金・社保控除後の手取り額を概算してみました(添付参照)。
ご案内の通り、所得税(住民税含む)は15%~55%の累進課税で上限なく課税されますし、給与所得控除も220万円が上限ですので年収が上がるにつれて当然に負担額が上がります。
一方で社会保険料については所得に対して一定率であり、所得が一定水準を超えると保険料は頭打ちになりますので、社会保険料と税金の両方の影響が加味されて手取り額が決まってきます。
表を眺めますと、年収が比較的低い層でも社保の負担が重いため20%超の負担率となっています。こうした社保の負担を嫌い、フリーターを選択したり、あえて社会保険に加入しない方も存在します。
また、年収1,200万円の方を基準に限界税率(所得の増加分に対する追加税金の比率)も記載しましたが、給与が増加した場合、累進課税により従来の税負担率以上の税率で課税されますので手取りは思ったより増加しないことが読み取れます。最近、正社員でも出世や給与よりもプライベートを優先する傾向が見られると言われますが、中間所得層の負担増はこうした傾向に拍車をかける一因となっているのかもしれません。頑張って給与が多少増えても税金や社保が上がってさほど手取りが増えないのであればむしろ平社員でいた方が気楽でよい的な発想が蔓延するのは経済全体にとって非常に問題と考えています。
通常、私達は年収いくらなどど給与額面のみにこだわりがちですが(源泉徴収と言う天引きにより各種控除に意識が向かないような制度を作り上げた政府の手腕は見事というほかありません。)、副業なども認められるようになってきた環境下、各種負担や手取り額に着目し、収支を設計する発想ができる方とそうでない方で、長期的な財産形成に差が生じます。残念ながら政府も取りやすいところから取りますので、タックスリテラシーを含めたマネーリテラシーを高めたいところです。
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