宮口公認会計士・税理士事務所

代表コラム

COLUMN

経済産業省H30年度税制改正要望【一部追記】

税務
2017.9.30

ご案内のとおり、税制改正は例年12月の税制改正大綱で実質的に確定しますが、現在は各省庁から税制改正要望が提出されている段階です。経済産業省からも8月に税制改正要望が公表されていますが(サイト参照)、当事務所の専門であるM&Aや事業承継に関しても注目すべき要望項目が複数挙がっています。

1.自己株対価TOBの課税繰延べ

国際的には主流の株式を対価とした株式買収について、売手の株式売却益を繰り延べる措置で、主に上場企業が他社を買収する際の利用を想定しています。

自社株対価TOB自体は平成23年の産活法の改正で認められましたが、当時は税制措置が認められなかったため全く普及していません。当時私も経済産業省の委託業務に関与しており本制度を研究していましたので制度の創設を願っています。

2.中小企業の事業承継に向けた税制措置

(1)親族・従業員等に株式等を贈与・相続する場合の「事業承継税制の抜本的拡充」

現状の事業承継税制の使い勝手が悪いことも、非上場企業のM&Aが活況を呈している一因であると理解していますので効果的な改正がなされた場合の実務影響が気になるところです。経産省の担当官によれば改正内容はまだ公表できないとのことですが、現状の支配株主と後継者の1対1の関係から父母から等、複数名からの贈与・相続も対象とすること等が検討されているようです。

(2)他企業・親族外経営者・ファンド等に株式・事業譲渡する際の税負担軽減
  ①譲渡益課税の軽減、②登録免許税の軽減、③不動産取得税の軽減

本改正については、どういった取引を対象として、どの程度税負担を軽減するか次第で非常に大きな影響が生じますので、改正内容を見極めたいところです。経産省の担当官によれば、対象企業は地域経済に貢献できる企業に限定される予定とのことですが、具体的な要件の公表が待たれるところです。また、税額軽減の内容は検討中とのことです。

(3)ファンドを経由して事業承継する場合の税負担軽減
  大企業の関係会社となり「中小企業者の優遇税制」が受けられなくならないよう措置

現状、具体的な制度概要は不明であり、総選挙もありますので改正の可能性も未定ですが、弊社のビジネスにも大きく影響する項目ですので年末の税制改正に向けて動向を注視していきたいと思います。

宮口

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