COLUMN
昨日、衆議院の解散が決まり株式相場も年末に向けてあわただしく動きそうです。
ご案内のとおり、非上場株式の相続税法上の評価は類似業種価格比準価額と純資産価額に基づいて決まるのですが、元々、税理士ではなく、公認会計士から税務の世界に入った者として少し違和感を覚えています。
まず類似業種比準価額ですが、株式相場に連動して動くことになりますので自社の業績が何ら変更がなくても、アベノミクスで日経平均が1.5倍になれば自社株の評価額も1.5倍になり、相続税額も1.5倍になります。従来にも増して企業の優劣が2極化する現状下において、上場企業は勝ち組企業の代表格ですが、負け組企業も勝ち組企業の株価に引っ張られて評価額が上がってしまうという現象が起きることになります。
また、もう一方の純資産価額についても、法人税の規定に従った税務の純資産額を基準に行われますので、法人税において廃止された賞与引当金や退職給与引当金については負債として控除することができません。恣意的な評価減を防止するという趣旨は分かるのですが、退職給付債務などかなりの金額インパクトになりますので、確定債務に準じる一定の要件を満たすものについては純資産からマイナスできるようにするなどの柔軟化が行われてもよいのではと思います。
財務的観点からどう見ても価値などつかない会社に多額の相続税が課税される悲劇を見るにつけ、贈与税や相続税自体の納税を繰り延べる事業承継税制の拡充もよいのですが、税額計算のベースとなる株価算定のルール自体を合理的なものにする工夫も進めて行く必要があると考えています。
宮口
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