宮口公認会計士・税理士事務所

代表コラム

COLUMN

多様な投資ストラクチャー・投資ビークルとの関わり

会計
2025.3.6

所長の宮口です。監査法人での会計監査、証券会社でのIPO支援、税理士法人でのM&A・組織再編、独立してからの資産税・富裕層業務など、大学卒業以来約30年近くに渡り多様な仕事をさせて頂きましたが、SPC、LPS、LLP、信託、TK-GKスキーム等、多様な投資ストラクチャーや投資ビークルに触れる機会が他の会計士・税理士よりも多かったと思っており、裏の得意分野になっている気がします。以下、自己の振り返りで記載しますが、裏取りをせず書いており、細部の記載が誤っている箇所はあると思いますのでその点はご容赦ください。

1.監査法人(1990年代後半)

主に大手不動産会社の担当をしましたが、不動産特定共同事業法の施行直後でSPCを活用した不動産の流動化などの事案に触れさせて頂きました。ノンリコースローン、倒産隔離といった用語に初めて触れました。今では一般的なREITの黎明期でもありました。

また、大手海運会社も担当させて頂き、仕組船会社の監査を担当しました。パナマ船籍、リベリア船籍などよく耳にしますが、そうした国に設立した子会社に船を保有させることで人件費や税コストを引き下げるわけですが、タックスヘイブン税制の適用対象になるため法人税の節税にはなりません。

さらにはVCの監査も担当させて頂きました。運用会社がGPとして組成する組合に機関投資家等からLP出資を募り、ベンチャー企業に投資するという組合投資の基礎を学ばせて頂きました。

2.証券会社(2000年代初頭)

証券会社ではIPO支援の部署で経験を積みました。IPO実績という点では大した成果は出せませんでしたが、持株会やストックオプションなどの投資スキームの実務を学ぶことができました。今では一般的な種類株式の活用はそこまで普及しておらず顧客からの相談に試行錯誤した経験もあります。

日本では全く普及しませんでしたが、子会社上場を計画する大手通信会社に対して、当時、種類株式の発行緩和により話題となっていたトラッキング・ストック(子会社連動株式)の上場を提案するプロジェクトにも関与させて頂きました。

3.税理士法人(2012年まで)

税理士法人に転職した後は上場企業の行うM&Aや組織再編業務に多数関与させて頂きました。PEファンドやメザニンファンドの投資ストラクチャーの組成に係る知見は現在も非常に役立っています。現在も流行っていますが上場企業のMBOによる非公開化案件に多数関与し、SPCの組成やLBOローン調達に係るフレームワークを身につけることができました。

上場企業では不動産や債権のオフバランス化がテーマになった時期であり、SPCの持分をケイマンのチャリタブルトラストや一般社団法人に持たせることで資産の原所有者からの支配を遮断するなどのストラクチャーが流行っていました。

また、バイオマス発電や洋上風力発電の案件にも複数関与させて頂き、いわゆるTK-GKスキームに多数触れました。あるエンティティの所得を他のエンティティに契約一本で移せるという匿名組合という仕組みと租税回避行為との関係をどのようにさばくべきか非常に悩んだ時期でもあります。

4.独立後(2013年以降)

独立後においてはPEファンドの顧問に複数就任しており、近年流行りの非上場オーナー企業の事業承継案件のストラクチャー組成のアドバイスを多数行っています。

VCファンド(投資事業有限責任組合)の会計監査業務も受託しています。

法人税申告実務においても、ファンド運用会社の法人税申告業務や顧客企業がVCにLP出資するケースもあり経験値は増しています。所得税分野においてもファンドマネージャー個人のキャリーの確定申告にも関与するようになりました。関連してパートナーシップ形態をとる弁護士事務所所属の弁護士の申告なども担当しています。

経験上、言えることは組合に係る現行の税法規定は原則論的なものしかなく、LPSのGPであるLLPの持分を複数のファンドマネージャーが持つといった複層的なケースや、投資期間の途中で投資家が移動するケース等で生じる実務上の取扱いに全て応えることができていないということです。ロジカルに考えてこうあるべきなどと試行錯誤しながら実務を進めています。

以上、単なる自己の経験(思い出)の棚卸しですが、当職を知って頂きたいと思いご紹介まで。読んで頂いた方はありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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